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                   店主のおぼえがき

「掘出し」に行こう

芋掘りに行くのではない。美術品の蒐集家であれば、誰もが一年中願望している〈あれ〉である。
どうすれば「掘出し」ができるか、新型コロナウィールスの自粛中、暇にまかせて無い知恵を絞ってみる。
以前読んだ本が頭に浮かんできた。『ささやかな日本発掘』青柳瑞穂著 である。たしか尾形光琳の肖像画を格安で入手した話が書かれていたのを思い出し、そこにはきっと「掘出し」の極意がかかれているにちがいないと見当をつける。早速本を取り寄せ、ページを開くと「掘出しということ」の章があるではないか。乾山の陶磁器、鎌倉期の伎楽面、そして尾形光琳の肖像画。これだけで垂涎の「掘出し」といえる。読み進むと「掘出し」をする人の三条件が挙げてある。
すなわち「運(ウン)眼(ガン)金(キン)」の三つが揃ったとき「掘出し」ができるとのご託宣。
 自分には「運」だけは少しありそうだが後の二つは全くない。自分は一生「掘出し」とは縁がないのかと諦めた時、その先に書かれている文章に光明を見出した。
「私は偽物の一流品よりは、二流品、三流品でも本物の方が好きだ。そして書画骨董でもここに掘出しのコツがある。」と。その通リだと思った。この言葉をしっかりと抱きしめて勇気をもって「掘出し」に行こうと思う。
 青柳瑞穂が光琳の真筆「中村内蔵之介像」を入手したのは1937年。兵役に召集されるがすぐ解除になって戻ってきた時のことだという。コロナウィールスが世界を席巻している今でもけっして「掘出し」を諦めてはいけない。青柳瑞穂さんありがとう 緊急事態宣言が解除されたら皆で元気に「掘出し」に行こう。